『廃業』を選ぶ目安

後継者候補がいる、いないに関わらず廃業を選択した方がいい目安があります。

その目安は「経常利益」+「役員報酬」が500万円以下ということ。日本の平均年収が400万円となってきている現状において、1000万とは言いません。

しかし、代表取締役となり、多大な責任と負担が発生する対価として、500万円に満たないのであれば、他の仕事を選択した方が間違いなく、本人のためにもなりますし、社会のためにもなります。

ただ、創業から10年以内であり、伸びしろが見えている企業であれば、上記の目安を満たしていない場合でも承継してもいいかもしれません。

これからの人不足社会においては従業員さんが働く場所は他にもありますし、後継者も他で働いた方が多くの給与を得ることができる可能性が高いです。

『承継』よりも『廃業』の方が簡単

事業承継する場合には各種の事業内容を引き継いでいくことが必要となり、5年~10年といった長い期間、計画的に『引継ぎ』『教育』『資産整理』といった対応を求められます。

慣れないことであるため、経営者・後継者のお二人に肉体的、精神的な負担がかかってきます。承継する価値のある事業であれば、こういったことも乗り切れるものでありますが、何となく承継していくという考え方だと完了せず、中途半端で終わってしまうこともあります。

一方、廃業であれば、資産と借入の整理ということはありますが、そこで終わりとなりますので、相続や後継者に負担となることはありません。最悪、『破産』という選択肢を取ることとなった場合でも、他の人にかける迷惑を最小限にすることも可能です。

正しい『廃業』をするために必要なこと

正しい廃業を実現するためにはまず『会社』と『個人』の資産の内容、事業における強みの理解が必要となってきます。資産の面は分かりやすいですので、そこまで問題となりません。一方で、事業面はそう簡単にいきません。特に廃業してもお取引先様に商品・サービスを提供していきたいという場合は多くあります。これをどうやって実現するかということも準備をすれば可能となります。

『廃業』という選択肢も頭に入れておく

現在の日本において、事業拡大のチャンスは大きくなっており、できる限り『事業承継』を行うことで、事業と収益の拡大を目指すことが好ましいとは思っています。

一方で激しい時代の変化に対応できない会社は撤退、つまり『廃業』という選択をしていくことも仕方がありませんし、最終的な幸せにつながる場合もあります。もちろん『廃業』するタイミングを定めることも一つの方法となります。

織田信長をはじめとして、各名将は撤退上手であったところもぜひ参考にしてください。